ギターを弾き始める時、出したい音、目指す音のイメージがあるはずだが、実際にプレーしてみると、腕(テクニック)と道具(ギター、アンプ、その他)が共に一定レベルに到達していないと、なかなか満足できる音は出ない。CD・レコードで聴ける憧れのギタリストの音に迫ることは、一朝一夕には出来ない。そのためには、何が必要か。
アマチュアバンドを見ると、上手いバンドは音がいい。逆もしかり。ギタリストも、しかり。
はじめて聴くバンド・曲では、当然、非常に大きな第一印象となるし、エレキギターについても、人によって好みの傾向、例えばトレブリーな音を好む人もいれば、丸い柔らかい優しい音を好む人もいる。一方で人の嗜好を超越した、万人受けする心地よい音も存在する。
私が好きな音「乾いた音」
私の好きなエレキギターの音に共通するのは、「乾いた音」で、エッジは強めで、どちらかと言えばトレブリーな音を好む。歪の濃淡については、あまり拘らず、曲調によって決めるものと思う。
「乾いた音」を狙うためのセッティング・作り方(私見)
「乾いた音」は、簡単に出ない。そもそも、「乾いた音」の定義が人によってマチマチで、抽象的である。私の「乾いた音」を文字で表すなら、「エッジが立っている」=「噛みつくようなニュアンス」があること、トレブリーでありながら、奥行きがある・・・薄っぺらではなく、太さもあること、と定義している。これらを目指すためのセッティングで共通するポイントをあげると、下記がある。(当然ながら、ギターの種類、ピックアップ等で変わるが、おしなべて大まかなポイント)1.アンプは必ずチューブアンプ、しかもフル・チューブであること。これは最優先。(私は、ソリッドステートやセミチューブ、プリチューブは使わない。)
2.「エッジを立たす」ために、アンプやエフェクターのトレブルやトーンを上げ気味にする傾向があるが、あえて、抑え気味にすること。その結果、リアピックアップが「キンキン」しないので、「噛みつき感」が出て、「乾いた音」っぽくなる傾向がある。
3.奥行・太さがないと、乾いていても薄っぺらになるので、ミドルやベースは、やや強調気味にする。その結果、「歪」にたよらない、太い音を得られると感じる。
4.手元(ギターの)ボリュームは、10にしない方が「乾いた音」に近づく印象がある。フルボリュームは、パワー感が増すが、音が「割れる」ニュアンスを感じる時がある。
そんな音が聴ける音源
フレディーキング
パキパキです。はじめて聴いたのは、大学の頃。背伸びしてました。「ちと、貧相な音やな。時代(古い)から、しょうがない・・・・。」と思った。その後、あまりにオーソドックスなフレーズに飽きて、嫌いになりましたが、40歳を過ぎて、「やっぱ、このトーンは凄い。古いじゃない。上手いんだ。」と。たぶん、ピッキングの角度、強さ、弦をヒットするスピードがいいでしょうね。(ちなにみに「ヒットするスピード」とは、速弾きのことではない。ヒットする瞬間から、弦をすり抜ける時間の短さのことで、このスピードが速い方が、音抜けが良くなる。)残念ながら、この人は年をとってから、ロック系のオーバードライブを強くして、若いころの音抜けが無くなってしまいました。
アンガスヤング
AC/DC
ギブソンSGがレスポールに劣らない名器であることが判る。ハードロックとしては、歪は少ない方だが、素晴らしいヌケとブレない軸がある音。バッキング時のエッジを抑えた音とリード時のすばらしいキレのバランスも素晴らしい。
ポールウエラー
ジャム・スタイルカウンシル時代も素晴らしいギターサウンドがあったが、リードギターも含めてトータルなギターサウンドは、この2作あたりがピークだと思う。意外とフィードバックを活用したプレーも有ったりして、プレージャンルは広い。
ジェフベック
時期によって音は変わるものの、すぐにベックとわかるトーンがある。この時期はローズネックらしい「うねり」があるストラトの音が聴ける。奏法も多彩で、ダイナミックで華麗で美しく激しい・・・聴きどころ満載。Jeff Beck
ワイアード、ブローバイブローは絶対的な名作であることは間違いないが、ギターの音だけでいえば、このアルバムも良い。ベックとしては珍しく、メイプルネックのオールドストラトを多用していると思われ、他の時期よりも、ブライトな印象。
ピーターグリーン
1曲目のイントロのコード音、すばらしい。
ブライアンメイ
いつもの自作ギターではなくテレキャスターを使用した「愛と言う名の欲望」の中間ソロの音。シンプルで最高です。
ロベンフォード
4曲目のジャズブルース「Nothig But The Blues」のナチュラルトーンは、ジャケットのフェンダーシグネチャーか、335か。いずれにしてもハンバッカーのジャジーな音、素晴らしい。
オールドのテレキャス、かなり乾いていて、トレブリー、でもブルージー。
ウエスモンゴメリー
「 IN YOUR OWN SWEET WAY」 の音、ちょっとだけ歪んでいるのがミソ。この人はトランジスタアンプを好んだらしいが、この音もそうだろうか。簡単には出せない音だ。
イングヴェイマルムスティーン
ALCATRAZZ
プレーは特別に好きなわけではないが、ストラトはいい音している。かなり歪んでいてもヌケを失わないフロント。適度にトレブリーなリア。音だけなら、スティーヴィーレイヴォーンより好きだったりする。
トニーアイオミ
ブラックサバスもトニーもそれほど好きではないが、この駄作アルバム「テクニカルエクスタシー」、一曲目のソロの音、切り込むような鋭い音、素晴らしい。そのためだけに聴く。
エリックジョンソン
「デザートローズ」の後奏ソロ、ファズをかけてフィードバック気味の音、ジミヘン的。これもストラトの理想の音。
ミックテイラー
ハンバッカー(レスポール、SG、エクスプローラー)もストラトもいい。
ストーンズ時代のブリュセルアフェアーのハンバッカーの音は最高です。
12分におよぶミッドナイトランブラーにおける中盤のブルースフレーズの音が最高。
ジミーペイジ
「ブラックドック」のリフの音(レスポール)の衝撃、「天国の階段」の有名なソロ(テレキャスター)の音。芸術的。
エリッククラプトン
この人は、断然、ハンバッカーの方がいいのだ。したがって、クリームとブルースブレーカー時代となる。John Mayall
レスポールとマーシャルコンボで弾き出される衝撃の音。全体的には、かなりトレブリー。理想のロックギターの音の1つとして、是非一度は聴いてみてほしい。
Cream
人によって、特に若い人には退屈な作品かもしれないが、このアルバムのハムバッカーの音は、「神々しい音」と呼ばれ、そのとおりの音。ブルースブレーカー時代より、ツヤが増した感じ。
ジミヘンドリックス
ジミヘンドリックスは、天才的なギタープレーと作曲で有名であるが、作詞とサウンドプロデュースもすごい。サウンド面では、いろいろあるが、このアルバム収録の4曲目「ブードゥーチャイル」のチューニングは、半音下げではなく、全音下げ(6弦はD)のベロベロのストラトの音が凄い。一度、そのベロベロチューニングの音をご確認いただきたい。
コメント