中高年ギターファンにとって、エリック・クラプトンは「神」だった。彼のギタープレーの魅力・特徴を、私的にまとめた。



1.私のエリッククラプトン歴

高校卒業から大学前半まで、エリッククラプトンに心酔した。
「クロスロード」「ハイダウエイ」「ハヴユーラブドアウーマン」
「オール・ユア・ラブ」、「ホワイトルーム」など、一生懸命コピーした。
かなり手グセになるほど練習した。

ブルーズを愛し、白人であることに悩み、メンバーとの不和で常に不安定な
精神状態でアル中でフラフラしながら、遂にレイラ事件(三角関係)でボロボロ
になりながら、名盤を世に出した・・・・なんていうストーリーに魅かれた。

アルバム作品では、「461オーシャンブールバード」「レイラ」「フレッシュクリーム」
「ライブ・クリーム」、「クリームの素晴らしき世界」
「ジョンメイオール・ブルーズブレーカーズ&エリッククラプトン」
よく聴きいたものだ。

エリック


2.エリックのヴォーカル

いきなり脱線するが、クラプトンのヴォーカルについて
クラプトンって、物真似うまいようで、彼のヒーローを意識していることが明確にわかる。その時々によって変わるが、ヴォーカルについては、オーティスラッシュの影響が一番強いのではないか?
ほんと見事なモノマネでコロッケ級だ。(これは笑えるぐらい似てます。)
そのほか、フレディーキングのカバー曲では、フレディーにちゃんと似せてる。マディウオータースの曲でも、ちょっと似てる。ニュアンスコピーが上手いんですね。

3.エリックのギタープレーは誰の影響があるか?


ギタープレーについては、フレディ・キングの影響を強く受けていることは、よく指摘されます。初期は特に顕著で、実際、ブルースブレーカーズ時代に、「ハイダウエイ」などをカバーしていることからも伺えます。ただ、クラプトン本人はフレディーよりもBBキングが好きで、「フレディーに似ているは迷惑・・・意識していない」と若い時発言しています。しかしながら、これは、イングヴェイが「リッチー、ウルリッヒからの影響はない」と豪語するのと同じように、自分の意識しすぎたヒーローを隠しているように感じます。エリック本人は、バディガイの影響もあると語っていますが、後年その影響が出てきていると思います。また、クリームのセカンド「カラフル」あたりでは、明らかなアルバートキングフレーズも出てきます。ジミヘンについてもその音楽性には強く惹かれたようです。


クラプトンはご承知の通り、デユアンオールマンが大好きですが、レイラセッション以降はライブ・スタジオともに常にサポートギタリストと一緒です。スタジオ&ツアーサポートではジョージテリー、アルバートリー、ロバートクレイ、マークノップラー、アンディフェアウエザー、ドイル・ブラムホールII、スタジオゲストでは、ライクーダー、ジョンメイヤー、デレクトラックスなど。バンドの厚みのためもあるのでしょうが、常に自分以外のギタリストからの刺激をもとめているようでもあります。

私はアルバート・リーとのコンビが好きで、武道館ライブ「ジャストワンナイト」
(写真ジャケット)はよく聴きました。
デユアン以降の相棒ギタリストは、大物ライ・クーダー、アルバート以外は「ミニ・クラプトン」(Jテリー、アンディー)みたいな人が多く、私的には、つまらないと感じます。ライとアルバートはクラプトンに勝るテクニックとクラプトンとは異なる音楽背景を持っているので、対比が面白い。。

メイヤーはクラプトンのマネが得意ですが、ジミヘン、レイボーン、ロベンフォードも
大好きで器用な人。トラックスは、超絶スライドでデュアンの後継者。

で、移り気な私は、30代後半はあまりクラプトン熱は下がりましたが、「マネーアンドシガレット」「アナザーチケット」あたりはよく聴きます。ギタープレーも曲も余裕があっていいですね。



4.エリッククラプトンのコピーに欠かせない曲・厳選3曲

☆クロースロード(「クリームの素晴らしき世界」収録)


   私にとって「恩曲」です。よく言われることですが、ギターソロのお手本。
   一番、勉強になったのは、メジャースケールとマイナースケール(ともにペンタトニック)の使い分け、特にソロ途中で切り替えの前後のフレージング、ポジションチェンジ、間の取り方など勉強になります。前半の歌える展開と後半の弾きまくりの対比も、本当に見事。しかし、このライブ音源は編集されていて、実際はもっと長いという説あり。何度もコピーし、今でも弾きます。

☆「ハヴユーラブドアウーマン」(「レイラ」収録)


私にとっての本格的ブルーズギター曲として、真面目に練習した。クラプトンの手グセがよく分かる曲。異弦同フレットなどは、それなりに慣れを必要とするフレーズ。
 (だけど、ニュアンスがコピーできれば、それで良しと思う)「クロスロード」にも言えるが、マイナー3度からメジャー3度へのハマリングオンや異弦同フレットを使用したフレーズの使い方なども、手グセになるまで練習した。ソロ途中のピックアップチェンジ(フロント⇒リア)もカッコいい。

☆「ハイダウエイ」
(「ジョンメイオール&ブルースブレーカーズ・ウィズ・エリッククラプトン」収録)


ちょっと早めのミドルテンポで淡々と弾かれるブルーズリックのカッコいいこと。 簡単そうで、コピーはそうでもない。当時、この音でこれ弾けば、「ゴッド」でしょうね。複音(ダブルストップ)フレーズが勉強になる。レスポールの手元ボリュームとピックアップチェンジによる音のコントロールも秀逸。

5.エリッククラプトンのリードギター・フレージングの特徴まとめ

厳選3曲と必ずしも一致しないが、クラプトンのフレージングの特徴を強引にまとめてみる。
1.ビブラートは、大きく分類すると、小幅でゆっくり掛けるイメージが多い。(もちろん、曲によるが、クセとして)
2.スケールは、御多分にもれず、ペンタトニック中心(メジャー&マイナー)である。その際に、経過音として2度、5♭度、6度を使用する頻度が少ない。特にブルーノートとなる5♭をあまり使用しないのは、意外。(ジェフベック、ジミーペイジに比較すると格段に少ない。)オーソドックスなイメージにつながる原因だろう。
3.リズム面では、シャッフルはさほど得意ではない。「ハイダウェイ」「ステッピン・アウト」などの名演もあるものの、ブルースギタリストとしては、意外に跳ねるリズムを多用しない。(多用しないのではなく、苦手かも)むしろ、シャッフル曲にイーブンリズムのフレージングを入れることで、
変化をつけている面もある。「ステッピン・アウト」や「ファーザーオンアップザロード」などで聴ける。

最後に。
マイナーな実力派ギタリストの褒め言葉として、「クラプトンより上」と評されることを見かけますが、これって、結局、クラプトンが凄いから引き合いにだされるんですね。