キング・オブ・エレキギター、ストラトキャスター。その音は極めて多彩。その多彩な音は、時にユーザーの好みから乖離し、悩みになることも多い。自分の好みに合ったストラトサウンドを見つけるには?改造方法は?

1.ストラトキャスター人気とユーザーの悩み


今、日本で一番人気のあるギターのタイプは、ストラトキャスターだろうと思う。
ここ10年ぐらいで、20年前よりもその傾向が強くなっていると思う。
ちなみに、ここで言うストラトキャスターに、メタルで使われるストラトの
変形は含まない。


楽器屋さんで、展示しているギターも圧倒的にストラトが多い。
スティーヴィーレイヴォーンとイングヴェイの人気が影響しているんだろうと思う。
(違う?)

私の偏見かもしれないが、ストラト好きは、1本に満足できず、複数買う可能性が高い
と感じる。
1本のストラトキャスターに満足できず、またストラトを買う人たちが沢山いる。
ストラトの場合、他のタイプ(テレキャスター、レスポールなど)よりも多い
のではないか?なぜか?

私の仮説
①ピックアップ5ポジションなど構造的にも音のキャラクターが多彩である。
②上記①から派生して、プロが出す音のキャラクターが、幅広い。

①②が原因で、アマチュアが出したい目標の音もかなり幅広い。
場合によっては、目標とする音・トーンニュアンス・音の伸びがなどが、
実は、ストラトキャスターとしては、ストラトど真ん中ではなく、異端の
位置にあることを知らずにストラトを買ってしまう・・・・。
その結果、「これじゃない、もう1本買いたい!」と、
目くるめくギターワールド(ギター貧乏)の扉に立ってしまうのである。
恐ろしいと言うか、素晴らしいか?笑えるか?

ストラト大好きの私は、ストラトの長所・短所を知っているつもり。
所有しているテレキャスター、レスポール、ES335などとの比較で感じることは
こんな点がある。
・サスティーン(音の伸び)は劣る。
  そりゃ、そうだわね。だって、ブリッジ固定してないんだもん。
 (シンクロナイズドトレモロ)
 動くんだぜ。ある意味、ギターのブリッジ基本を逸脱してるもん。
・バネ(スプリング)の音すんだぜ。あれ聴くを「鈴なり」なんて言うヤツいるんだぜ。
 なんじゃそりゃ。
・ポコポコ音すんじゃん。あれ、何とかならんか?ならんわな。
 だってプラスティックにピックアップ固定してるんだもん。
 ソリッドギターでありながら、空洞も多いからな。
・あのカルい音、リズム隊にまけるわ。キーボードの音に溶けちまうわ。

・・・・・全部ホントです。
ストラトの愚痴であり、人によっては、これがいいって人もいる事実。

ギターオヤジと化した私ぐらいになりますと、
「バリエーションを楽しむ」なんてセリフも吐けますが、貧乏ハードロック学生時代には、
悩ましかったな。


今、ストラトを買おうとしている君、既に買ってしまった君、
ベック、リッチー、レイヴォーン、イングヴェイの音は簡単にストラトで出せる音ではありません。




ストラトキャスターは、テレキャスターよりも「コモり」やすいと感じる。
テレキャスターがソリッドボディで金属プレートに固定されたシングルピックアップ
であるのに対し、ストラトは、樹脂プレートであるピックガードに3つの
シングルピックアップ、それらを収納する空間があり、さらにシンクロナイズド
トレモロのブリッジおよびスプリングを収納する空間もある。
ソリッドギターながら、空間の少ないセミアコースティック構造に近い、
微妙なエアー感につながり、時にはそれがコモりにつながっている、ようだ。
人によっては、ややコモッたトーンに魅力を感じる人もいるかもしれないが、
シングルピックアップの特徴である「鋭さ」「音抜けの良さ」を大切にしたい。
人それぞれの好みはいろいろあるが、ストラトの音を大きく左右しているのは、
ピックアップとネックであると思う。

(ちなみに、構造上、シンクロナイズドトレモロの影響も大きいハズであるが、
私は、ハードテイル(アームレスのストラト)や、フロイドローズ搭載器種は
弾いたことがないので、判らないが、大きく異なる音像になるらしい。)

2.ピックアップによる音の違い

私の所有する3本のストラトの例で、ストラトのネックとピックアップの音の特徴、
印象をご紹介します。



(1)ECストラトキャスター


あまり、弾いていない。久しぶりに弦を替えた。
本当に「ご無沙汰して、ゴメンよ。」と思いながら、磨いた。
けど、あんまりキレイにならんかった。
ボディーって、なんで黄ばむんだろう。もはや、だれも「ホワイト」とは思わん。

ECストラトアップ

で、アンプで鳴らした。
「これ、ストラト?」ってぐらいパワーある。
全部、ピックアップ「レースセンサー」の技だと思う。
久しぶりに、リッチー弾きたくなる音。(リッチーもレースセンサー使った時期あり)
ディストーションやオーバードライブいらん。アンプ直で、十分ハードロックできます。

ストラト買ってから、悩んでいる人、レースセンサーに替えたら?
外観が気に入らない人多いかも。


【 並行輸入品 】 Clapton Lace Sensor (レースセンサー) Gold Loaded Strat ピックガード White
LaceSensor




(2)トーカイゴールドスター

国産のストラト、十分いいモノもあるが、ピックアップは総じて弱いと感じる。
所有しているトーカイのストラト(80年代製)、音抜けが今一つだった。
リアをダンカンに替えたみた。
まったく別世界になりました。
ただし、リアとミドルのバランスが悪くなり、
結局、全部替えました

抜けが良くなり、オーバードライブ時のコモリが無くなった。
また、クリーン・クランチのハーフトーンの「コケコッコー」音も
気持ちよくなりました。
トーカイストラト










(3)フェンダーカスタムショップ・クラシックプレイヤー・ストラトキャスター

現在メインで弾いているカスタムショップのストラトの
ピックアップはセラミックノイズレス。
これだけ、ネック指盤はローズ。
ストラト本人



クリアーで立ち上がりの良さが気に入っています。
リアの鋭さ、フロントの太さ、ローズウッド指盤による中域の
「コシ」、オーバードライブ時の「ウネリ」が他の2本と異なります。
ハーモニックスの鳴りがクリアーで抜け良し。交換用も発売されています。









3.ネック指板(指盤)の違い



前提として、経験上、ボディ・ピックアップを変更せず、ネック・指板を交換したことはありません。したがって、ネック指板が音にどう影響するか?の検証経験はありません。印象として、メイプルは、張りがある、アタック強め(立ち上がりが早い)音ヌケがいい、ローズは、太い印象(中域が出る)、歪音でうねる、サスティーンに有利・・などを感じます。より客観的な違いの把握を試みたデジマートの実験映像がありますので、お借りして掲載します。




ただし、音の違いは大きなポイントでありますが、演奏時の「タッチ」の違いも、プレーヤーにとっては非常に重要と思います。私は、タッチの観点でローズを好みますが、サウンドはメイプルも捨てがたい・・と迷いながら、トータルでは、上記のグリーンのストラト(ローズネック)が気に入っています。
有名ストラトプレーヤーもネック指板の好みは、移り変わるようで、ジミヘンは初期はローズ、中期以降は、メイプル(ただし張りメイプル)、ジェフベックは、ローズ→メイプル(57年のオールド・サンバーストのやつ)→ローズ(シグネチャーストラトはローズ)、リッチーブラックモアは、初期はメイプル(パープルの武道館など)→ローズ(レインボーの全盛期以降)となっています。
(ご参考→ジェフベックのストラトは、ローズとメイプル、どちらの指板が好き?

その他



ストラトキャスターの音に影響するパーツの調整方法として、あと2点。ともに弦のテンションに大きく影響しますが、それは、音のハリにも影響します。実際に両方を行っていますが、プレーアビリティと音、ともに予想以上に変化します。2点ともに慎重にやれば、自分でできます。

⓵シムによるネック角度調整(リンク先をご覧ください)
フェンダー系ギター・ネックのシム調整の効果

⓶シンクロナイズドトレモロ関連部品の固定と調整

ストラトのテンション調整のためにシンクロナイズドトレモロのセッティングを変更の仕方