熟年女性ミュージシャン、シンガーでギタリストをご紹介。
シンガーでギタリスト、ボニーレイット。65歳(2015年現在)


1.ボニー・レイット略歴

遅咲きの大モノ。今は超大者。
デビューは古く、ワーナーブラザースより71年。
デビュー前から、ハウリングウルフ、ミシシッピ・フレッド・
マクダウェルなど大物ブルースマンと交流があり、
鳴物入りのデビューであったが、さほど売れず。
その後、キャピトルへ移籍、89年「NICK OF TIME」で大ブレーク。
このころ、ボニーさん40歳ぐらい。
Nick of Time
Bonnie Raitt
Capitol
1990-10-25

このアルバムは、ブルース色、ロック色が薄く、
売れ線。個人的にはあまり好きではない。
むしろ、これが売れた後のアルバムが素晴らしい。
私は、次作の「 LUCK OF THE DRAW」(91年)で好きになった。
これはよく聴いたし、今でも愛聴している。
この2作は共にグラミー賞を獲得して、大スターに。

2.ミュージシャン、ギタリストととして


昔、インタビューを読んだら、クラプトンについて、
「一緒にやったことはないけど、流石ね。機会あれば、
プレイしてもいいか。<イベント系で偶発的にプレイしたことはある。
レイヴォーン追悼コンサートなど>」・・・
語訳のニュアンスもあると思うけど、かなり「上から目線」のコメント
と感じた記憶がある。・・・・どっちが上?って、
どうでもいいけど、「なんか偉そうなコメントだな」と思った。

その後、ボニーさんは、その当時、私が感じていたプレゼンスよりも、
もっと、もっとビッグな人と分かった。
ブルースマンとの親交に加えて、71年のデビュー盤では
ジュニア・ウェルスが参加。スライドギターについてもライクーダーや
ローエルジョージとの親交があって、ライバルだった模様。
(もっとも競うこともないでしょうけど)クラプトンよりも、
ブルースのメジャーリーグの洗礼を、ぐっと若い時代(20代そこそこ)
に受けいて、由緒正しき血統だ。
そうした背景あってか、スライドは誰も真似のできない深い名人芸で、
一発でボニーさんと分かるプレイ。
スライドプレイは、その性質上、音程が微妙。
音階上の音と音の「間の音」やタイミングが個性となる。
多くの凄腕スライダーの中には通常のフレット押弦にかなり近い音数で、
スライド特有のスリリングなニュアンスを売りにする人も多い。
一方でボニーさんは、音数がすくない伝統的なスライドで、
その伝統技術を売りとするプレイヤーの中でも、
音階上の音と音の「間の音が長い」ことが特徴と思う。
非常に覚えにくいメロディーを紡ぐ人なので、コピーは困難。

もっともボニーさんは、ギタリストよりもシンガーとしての人気が高い。
黒人の有名シンガーよりも、さっぱりしていて、コブシがないので、
バラードでも暑苦しくないところがいい。
ややフラット気味になる感もアジ。
ハスキーなファルセットもナイス。

おすすめ4作



BONNIE R

「 LUCK OF THE DRAW」

タイトル曲は、
本当に素晴らしい。デカい音で聴くと幸せ。
この曲のためだけに購入してもいい。
この曲のギターはリチャードトンプソン、名演・快演。
Luck of the Draw
Bonnie Raitt
Capitol
1991-08-15






他にはあのプリンスがアルバム「 emancipation 」でカバーした名バラード「CAN'T MAKE YOU LOVE ME」も収録。
プリンスは「ボニーはアメリカの宝石」とアルバム「 emancipation 」のライナーに記載している。
この曲のピアノは、ブルース・ホーンズビー。ラストのソロが素晴らしい出来。

ロベン・フォードも参加し、存在感あるギターを披露している。

「SILVER LINING」(2002年)

Silver Lining

セルフプロデュースとなり、
ハツラツのびのび、やりたい放題の痛快な作品。カッコいい。熟女の凄みがにじみ出ているのは、ジャケットだけではない。購入した日は、4回聴いた。
1曲目、2曲目が特に好き。珍しいブギウギロックロール5曲目、ボニーらしいバラード7曲目、10曲目、特異のドブロスライドで始まるブルースロック、これもボニーらしい。
11曲目、アーシーなカントリーブルース風の名人芸が聴ける。
12曲目、しっとりピアノ弾き語りバラードでエンディング。
都会的なロックとボニーのバックグラントであるブルース、カントリーなどのバランスが取れた佳作です。



最新作「SLIPSTREAM」(2012)


メンバーがすごい。ギターにビル・フリゼル(Bill Frsell)、キーボードにマイクフィネガン(Mike Finngan、ジミヘンのエレクトリックLL収録の「RAINDAY~」をプレイした人)、・・・・期待いっぱいで聴いてみた。

bonnie
(写真は、ジャケット中のポートレート。まるで政治家や富豪みたい。)

1曲目「used to rule the world」、短いイントロ(というより、ガイドフレーズ)の後に出てくる
「doctor feel good ♪♬~」のボーカルのカッコいいことったら・・・・・そうです。女性ボーカルの曲で「カッコいい」っていう表現がシックリくるのは、珍しいと思う。ほんと、カッコいい。演っとる楽曲は、まったく上記の写真とちがうロック! おっしゃー!

Slipstream
Bonnie Raitt
Redwing Records
2012-04-10

2曲目は珍しいレゲエリズムのヒット曲。
3曲目、11曲目ボブディランのカバー2曲もナイス。
有名曲じゃないこれを選んだボニー、流石。
ボブディランのカバーは、本家を大きく下回るモノもたくさんあるが、この2曲は、ディラン本家と競う出来。豪華・超大物メンバーのバックの演奏もキレキレだ。今回は特にロックしてる。リズムのアクセント効いた曲が多いので、聴きやすい。
強く、おすすめします。

ちなみに、輸入盤で歌詞ありです。

例のスライドギターも多めに入っています。
(「ニックオブタイム」の頃の倍は弾いている。)

おしまい。