マイク(マイケル)ブルームは、白人ブルースギタリストとして、英国のクラプトン、米国のブルームフィールド、両巨頭として後人へ強い影響力を誇る。クラプトンに比較すると、日本における人気は及ばないが、米国におけるミュージシャンからの人気は、ブルームフィールドが上かもしれない。その魅力に拙筆ながら触れたい。

BLOOMF

マイケル・ブルームフィールドの最も有名な演奏


「ニューポートフォークフェスティバル」で、エレキギターを伴ったロックバンドで登場したボブディランの隣にはテレキャスターをもったブルームフィールドが立っていた。このバンドがバターフィールドブルースバンド。この時、従来のフォーク曲の演奏を期待していたファンからは強烈なブーイングを受け、やむなくステージを降り、再度ディランがギター1本で登場し、泣きながら「 It's All Over Now, Baby Blue」を歌った・・・と伝説化している。多くのファンからは不評であった一方で、フェスティバルに参加していたミュージシャン(マリア・マルダーなど)には、強烈なインパクトを与え、バンドは有名になった。その後、ディランは更にロック色を強め「Like a Rolling Stone」を含むアルバム「追憶のハイウェイ61」を発表、ブルームフィールドはこのアルバムでリードギターを担当した。

bob &マイク

上記写真のボブ・ディランのバックで認識している人も多い。
「ライク・ア・ローリングストーン」のギターを務めたことは、「人生最大の大事件だろう、ギタリスト冥利につきるねぇ。」なんておもってたら、「オレにとって、ディランとの仕事は片手間、寄り道みたいなモン」だと。
まぁ、よー言いますわって感じです。ギタリストはビッグマウスだから。




Highway 61 Revisited

「Like a Rolling Stone」のオブリガード、「Ballad Of Thin Man」のブルースギター、「Highway 61 Revisited」のスライドギターなど大活躍。





ニューポート・フォーク・フェスティバル [DVD]
ボブ・ディラン
貴重な映像、ディラン、ブルームフィールドともに目つきが怖い、カッコいい。


Live 1962-1966 - Rare Performances From The Copyright Collections
Bob Dylan
「ニューポートフォークフェス」の.「悲しみは果てしなく 」音源を収録。


「ニューポートフォークフェス」の.「マギーズファーム 」音源を収録。





アルバム「Highway 61 Revisited」における演奏が一番有名であることは疑いない。なんと言っても、米国のポピュラーミュージックの頂点であるから。ディラン本人もブルームフィールドのギタープレーを高く評価しており、その後のコンサートツアーにブルームフィールドの同行を依頼するが、ブルームフィールドはこれを断る。自身の道を歩みたかったのだ。

ポールバターフィールドブルースバンド



Butterfield Blues Band
上記のニューポート・フォーク・フェスティバルと同年(1965年)に発表されたデビュー盤。エリッククラプトンがジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズとアルバム「Blues Breakers with Eric Clapton」を発表したのが翌年(1966年)である。白人ブルースバンドが発表したブルースロックの先駆的作品として、互角と言える。




East-West
2作目。ジャズの「Work Song」のカバー、オリジナル曲「East-West」等の長尺インストで、インプロヴィゼーションを展開し、当時のロックシーンに強いインパクトを与え、後継にも影響を与えた。その後のクリームも何らかの影響は受けた可能性は否定できない。ブルームフィールドは、バンドの個性・方向性を決定する演奏力を誇った。今、聴くと粗削りではあるが、ロック・ブルース・R&B・ジャズ、さらにラーガ(インド音楽)等をシャッフルした新たな音楽を指向した先見性のある内容でもある。

エレクトリックフラッグ~ソロ



Long Time Comin
Electric Flag
バターフィールドブルースバンドを脱退し、バディマイルス(バンドオブジプシーズのドラム)と組んだ総勢8人のバンド。バラエティーに富み過ぎ、すぐ解散。ただし、Bloomfieldのギターは、時々、冴える。
「TEXAS」のギターは名演。エリックジョンソンもカバー。
つまらん曲もあると割り切れば、いい。


Fathers & Sons
Muddy Waters
マディウォータースのアルバムに、バターフィールドブルースバンドとブルームフィールドら、白人ブルースマンがバックを務める作品。ここでのブルームフィールドのプレーを彼のベストと評するファンも多いらしい。
たとえば、4曲目「Cant Loose what You Aint Never Had」の間奏は最高だと思います。





ソロ期のピーク、スーパーセッション

Super Sessions
AL KOOPER / MIKE BLOOMFIELD / STEPHEN STILLS
傑作と評され、セッションブームの先駆けとなった作品。
典型的なブルースフレーズよりインド風ジャズ的なアプローチに感心する。
(今聴くと、個人的に全体的には凡作と感じ、ブルームフィールドのプレーにも閃きを感じない。)



Live Adventures of Mike Bloomfield & Al Kooper
Al Kooper & Mike Bloomfield
スタジオセッション「スーパーセッション」に比較すると、ライブの臨場感、アドリブプレーにおける閃きが随所に感じられることが魅力。ブルームフィールドのプレーは、ジャズ色がやや強まり、他の白人ブルースギタリストと一線を画すプレーになってきている。そのニュアンスは「ザ・ウェイト(ザ・バンド作)」などで顕著。


その後、麻薬の影響で一時、活動が鈍る。

Live at the Old Waldorf
Mike Bloomfield
76年~77年のライブ。
70年代後半は、ヘロイン中毒が重くなり、活動・作品がかなり減ったと聞く。でも、このライブは絶好調で、ギターフレージングは饒舌。
使用ギターは、下記ジャケット裏のレスポールP90付とテレキャスターらしい。いい音出てる。スライドプレーがかなりある。ラフなので、好み別れると思われるが、ジャンキーのメロメロのプレーではなく、積極的なプレーと感じる。1曲目のノーマル(押弦)プレーは、この人のベストプレーと思う。
名演とされるスーパーセッションの「アルバートのシャッフル」よりもこっちの方が全然いいと思う。

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おしまい。