白人ロックロールバンドの王様、ローリングストーンズ。数多いライブ作品は、時代と共に徐々に変化してきた。これだけ芸歴が長いと、各メンバーの演奏力も上下があり、バンドのノリも変革してきた。一部海賊版も含めて紹介する。

「Get Yer Ya Ya's Out(ゲットヤーヤヤズアウト)」

Get Yer Ya-Ya's Out!
ミックテイラー加入後の正規発売ライブ。
69年7月のハイドパークコンサートでは、ミックテイラーは加入したばかりで、リハ不足であったろう。0441E979-D279-48CC-9DEF-9AB406DFEA9E


それから、4カ月後の69年11月ライブ演奏。ミックテイラー加入後の正規発売ライブで演奏は69年11月。
映像版ライブの{ギミーシェルター(オルタモントの悲劇として有名)」のお粗末な演奏から立ち直った見事な出来。

当時のベストヒット的な選曲。
ギターに歪が増えて、60年代後半から70年代初頭の時代を反映したサウンド。
選曲で珍しいところでは「リトル・クイニー」「ストレイキャッツブルース」「リブウイズミー」も入ってる。
「ストレイキャッツブルース」のリードはキースが弾いた方が良かったと思う。
「悪魔を憐れむ歌」のライブバージョン2本のギターアレンジがいい。

ミックテイラーのリードには、よい意味で「甘さ」が漂うが、この曲には不向き。
ライブ全体は安定感ある手堅い演奏ながら、ブライアン在籍時よりも、ドライブ感があると思う。


「スティッキフィンガーズ・リマスター(ボーナスCD71年ライブ)」



Sticky Fingers
Rolling Stones
直近のリマスターでボーナスライブが追加された。
上記「ゲットヤー~」の時期と雰囲気変わらないが、「ゲットヤ―」を超えもせず。ファンには、まずまずでしょう。
エリッククラプトンがスライドギターで参加したブラウンシュガーも聴ける。これは一聴の価値あり。

なお、この時期には有名ブートレグの「GET YOUR LEEDS LUNGS OUT」(71年リース大学ライブ)がある。演奏内容は似ている。
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この時期のキースのギターサウンドを模したエフェクター(オーバードライブ)がある。


「LADIES & GENTLEMAN(レディース&ジェントルメン)」(’72)

72年のライブの複数回を1コンサートのように編集してある。
一般にミックテイラー在籍時の絶頂期の演奏の1つとされるが、拙者は下記の「Brussels Affairs 1973」の出来とは、かなりの差があると思っています。
ただ、全盛期ライブの1つではある、と思います。
音質は、各パートの分離が今ひとつです。
これは、下記のDVDで映像で楽しむことに割り切った方がいい。

「ラブ・イン・ベイン」でテイラーのブルースソロの熱演。
「スイートヴァージニア」は、アコースティックギター弾きながら、キースが楽しそうにコーラス歌うシーン、素晴らしいです。










「Welcome To New York」(’72)


72年7月のマディソンスクエアガーデン公演。
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演奏は、概ね「レディス&ジェントルメン」並み。
荒さと勢いのある演奏で楽しめ、音も良好。
この1年後となるブリュッセル公演は、これらのツアーをこなした後、試行錯誤と熟練の賜物なのだろうと感じる。特に違いが大きいのは、ミックテイラーとチャーリーワッツ。
ミックテイラーは、いろんなフレージングやバッキングリフレインを試している感じ。
チャーリーはミスが多いかな。


「Happy Birthday Nicky」


73年2月のオーストラリア公演、そこそこ有名なブートレグ。
音はかなり良い方で、バランスも良い。
ブリュッセルの半年前で、演奏がこなれてきている感じ。
ミックテイラーのフレージングも固まってきた。

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曲としては、この「Rocks Off」のライブが聴けるのはウレシイ。
チャーリーワッツは、「Gimmie Shelter」のイントロのフィルインからリズムインが全く合わず、やり直すが、まだ合わない・・・散々な出来で笑える。この時期のブートレグでは、同曲で同じミスがみられるので、かなり苦手だったのかも。ただ、ブリュッセルでは完全に解消しています。

「Brussels Affair 1973」(ブートレグ)

73年10月17日のコンサートに、ラストの「ストリートファイティングマン」だけ、別のロンドン・ウェンブリーアリーナ公演を追加した傑作ライブCD。

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(このジャケット以外でも販売されています。)
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ストーンズ最強のライブ盤。ロックバンドのライブのカッコよさが詰まってる。
特に「ミッドナイトランブラーか」らラストまで、奇跡の演奏が展開される。
ミックテイラーのギターは、生涯で一番の快演だ。
チャーリー&ビル+キースのバンドの疾走感が凄い。
各パートの分離・バランスもよい。
これを聴かずにロックファンですか?ってくらいロックライブ。
それなのに、正規リリースされない。(*現在は、限定的に販売されている。)
ジミヘンの「ロイヤルアルバートホール」と並ぶライブ盤・ブートレグの謎。
ブートレグも最近あまり出回っていない模様なので、見つけたら、買うべし。
(タイトル「ナスティミュージック」と同じ音源のようですが、Youtubeに一部異なるテイク(ミッドナイトランブラーなど)があるこり、それも素晴らしい内容でした。)




こちらの「山羊のスープ」のスーパーデラックスにも付属される。
こんなことするなら、単独で販売すりゃいいのに。

「LAフォーラム75」



From The Vault – LA Forum – Live In 1975 (2CD+DVD) (NTSC Region All)

ロンウッド加入後のライブ音源では、初期の部類。75年全米ツアー・LAフォーラム。選曲はほぼすべてミックテイラー在籍期、2枚組てんこ盛り、75年におけるベストチョイスで、有名曲をほとんど網羅している充実盤。
ロンウッドがテイラーの穴をうめる好演。ストラトがいい音だ。
プレーは、テイラーよりも音数が多い。でも、テイラーの方がやっぱ達者であることは、隠せない。それでも好感できるプレーだ。
やや脱線するが、ロンのギターは、実際に聴いてみると、そこそこいいんだけど、記憶に残らない。なのでコピーしたくならない。ファンが少ない原因だと思う。

キース&ロンのコンビは、ギターの音が似ていて、どちらがリードを取っている

こんな記事があった。「ミックテイラー期のストーンズは頑張ればコピーできる。ロンウッドの加入後のグルーヴはコピーできないほど素晴らしい」私は、そうは言っても、やっぱテイラー期が好き。
ラストの「悪魔を憐れむ歌」のキース&ロンは音もプレーもそっくり。珍しいコンビだ。ただ、このライブでは、まだロンとキースの区別がつきやすい。音が最も似ているのは、「サムガールズライブ」だと思う。輸入盤も数が減ってきているので、ファンは買い。
*なお、米国盤のDVDは日本では再生不可。EU盤なら、DVDも鑑賞できるので、お得。
75年のブートレグとして「WELCOME BACK TO NEW YORK 1975」(マジソンスクエアガーデン)があるが、音は今一つで、LAフォーラムの方が良い。

「Love You Live(ラブ・ユー・ライブ)」

Love You Live (Reis)
76年ヨーロッパツアー・パリライブに、77年の「エルモカンボ」を4曲追加した構成。LAフォーラムよりロンのギターの個性が出てる印象で、テイラーのライブフレージングのコピーがほぼなくなった。
「ブラック&ブルー」から「Hot Stuff」がプレーされている。
 If You Can't Rock Me/Get Off of My Cloud 」は珍しいが出来は平凡。
前半戦がやや平凡に感じる。(アナログのA面)
ただし、B面の
You Can't Always Get What You Want におけるロンのオリジナルはソロプレー、C面の「エルモカンボ」のブルース4曲は出色。そしてD面の怒涛の有名曲の連発は、流石、ストーンズってことになる。全体を通じて、チャーリーのノリがやや重くなった。

Welcome Back To New York (75年)ブートレグ


エレキで演奏される哀愁漂う「Wild Horses」8分間の熱演が良い。
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El Mocambo 1977




Live At The El Mocambo
Polydor Records
2022-05-13

「ライブユーライブ」収録されたC面の「エウモカンボ」がフルヴァージョンで正規発売された。
(もう、ずいぶん前だけど)
予想よりも、いつもヒット曲が収録されているのが意外で、選曲としてブルージーな曲が多めではあるが、特にブルースを強調したコンサート?でもないかな。
珍しい曲としては、「Route 66」、「Crazy Mama 」「Hand of Fate 」「Fool to Cry」「Dance Little Sister 」「Worried Life Blues 」「Melody 」「Luxury 」「Worried About You 」など。
全体として、「ラブユーライブ」と被る曲(「ホットスタッフ」や「タンブリングダイス」)を聴くと、この日の方が演奏が絞まっていて、ミックの声がよく出ている印象。
個人的に注目した曲で評価するなら、
・「Route 66」初期の初々しさは当然ないが、これはこれで〇、
・「Hand of Fate 」スタジオテイクのギターソロの名演(ギター=ウェインパーキンス)を如何に弾く?
 やはり、ロンはウェインには勝たなかった?でもバンドの出来はいい。〇
・「Worried Life Blues 」全然ダメ、×残念。(アルバム「ブルー&ロンサム」を評価する人にはいいでしょう。
・「Melody 」ブラック&ブルー収録のジャズブルース。ミックのヴォーカル◎
・「Worried About You 」アルバム「Tatto You」収録のブルージーなバラード 8分の熱演なのに、ミックがファルセットでキーを外しまくり全然ダメ ×残念。スタジオ盤で聴ける素晴らしいギターソロもこちらではショボい。

ただ、全体はいい出来のライブです。

Live At The El Mocambo
Polydor Records
2022-05-13




「Some Girls Tour Live」(78年)

78年のライブツアー。
アップテンポの曲を中心として、トレブリーなギターサウンドで駆け抜けるライブ。
ロンがゼマティス(図太い音がする)を使っても、キースとの区別はつきにくいほど、似ていて、
2人ともリアの音はギラツキ感があるほど硬質、これはこれでイイ。
安定感のある「エルモカンボ」や「Still Life」とは一線を画す不良チックなロックコンサート。
これが一番好きというファンも一定数いると思う。

SOME GIRLS: LIVE IN TE
ROLLING STONES
EAGLR
2017-06-09

Some Girls: Live in Texas 78 / [Blu-ray]
The Rolling Stones
Eagle Rock Ent
2011-11-21



ブートレグでは、「Lacerated At The Cocktail Party」
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「スティルライフ」

Still Life (Reis)
Rolling Stones
ストーンズのライブのオープニングはいつもカッコいい。
81年の「STILL LIFE」のツアーは古典Jazz「A列車で行こう」~「アンダーマイサム」の流れ。当時・高校生の僕はこれがストーンズの初ライブ盤。
今、ストーンズを一通り聴いた後、如何にこのオープニングが「想定外」であったことか、まぁそれぐらい劇的でカッコいいオープニング。
このころ、ギターサウンドは歪がやや軽くなり、コーラスモジュレーションが掛かる。
選曲も「女たち」「刺青の男」から選出し、ロン在籍以降のカラーが強まる。
この時期のライブは、最近追加発売(↓)されており、これも買い。ストーンズ商売、のったらキリなし。

「ハンプトンコロシアム」






ストーンズの「カリスマ感」が際立ったのはここまでか?




「フラッシュポイント」



東京公演を含む「スティールホィールズ」ツアー。
僕が初めて見たストーンズライブの音源であることもあって、オープニングの「コンチネンタルドリフト」~「スタートミーアップ」は、当時のワクワク感がフラッシュバックする。
が、その感慨もそこまで。ライブ盤全体には、どーも興奮できないんだよなぁー。
音がキレイすぎるのかなぁー。
「リトルレッドルースター」にクラプトン参戦。まぁ、それなりです。ライブ盤の価値には影響あるほどの存在感はない。

「ストリップト」


Stripped
ちょっと遅れてアンプラグドブームにノッタのか。半分アコースティックな企画。
選曲を見ると買わずには過せない。
買ってみると、なんかなぁ、燃えない。
ビルワイマンが辞めたからか?ピアノがイアンスチュではないから?


「ノーセキュリティ」



No Security
上記の感覚は更に深まる。
本作も興味深い選曲ながら、燃えずに聴き終わる。
ロックの「尖がり」が無くなってるなぁ。


「ライブ・リックス」



Live Licks
The Rolling Stones
少々飽きてきて、発売後買わぬまま、放ったらかし。
このブログ書いていて、DISC2の選曲が気になり買ってしまった。
Rocks Off、Can't You Hear Me Knocking、How Strong My love is
Nearness Of You (スタジオ盤未収録)、Monky Man 、Worried About You
When The Whip Comes Down 、Everybody Needs Somebody To Love
など、結構楽しめた。
プレーはかなり荒い。ロンウッドが音外します。

「シャイン・ア・ライト」

SHINE A LIGHT
ちょっとだけ昔の「尖がり」を取り戻したライブ盤。
バディガイなどのゲストが刺激か?(とも思えない)
それなりに聴いたライブ。
Faraway Eyes 、She Was Hot、You Got the Silverあたりがいい。
Start Me Upは、このライブが一番いいかも。

番外編「ロックロールサーカス」


Rock & Roll Circus
Rolling Stones
これは、ジョンレノン+キース+クラプトン+ミッチミッチェルの企画バンドによる「ヤーブルース」、これに尽きる。
ジョンレノンはエピフォンカジノ、クラプトンは335、まさにその音。
この曲のトレブリーな335の音は、僕の目指す335の音の基準なんです。