ワシぐらいの年代は、「産業ロック」と呼ばれるバンドをある程度、聴いている。
こうしたバンドにも、ちゃんとギターヒーローが在籍していることが、日本における人気の
必要条件だった?かもしれない。
例えば、スティクスなんてのは、米国ほどの人気は日本ではなかったように思う。
大人気だったエイジアって、ギターだれ?だっけか?

仮説:産業ロックバンドは、自らを産業ロックと認識した時に人気はピークを過ぎる

これをいくつかのバンドで検証してみる。

ジャーニー



INFINITY
JOURNEY
米国人気を確定させた78年のヒット作。この時点では、まだ産業ロックではない。サンタナ出身の「天才少年ギタリスト」ニールショーンを中心とした演奏力ある実力派ロックバンドとして「Lights」、「Wheel in the Sky」のヒット曲があった。ウェストコースト、R&Bの香りが残っている点がいい。スティーブペリーの声とメロディアス・ポップ・ドラマティックがバンドの方向性を変えていく・・。



エスケイプ +7(期間生産限定盤)
JOURNEY
キーボードのジョナサンケインとスティーブペリーの趣向を大きく取り入れて、ジョナサンのピアノをフューチャーした「Don't Stop Believin' 」「Who's Crying Now」などヒット曲の量産体制に。
ウェストコースト・R&Bの影響が感じられなくなって産業ロック化した大ヒット作。全米No1。やっぱNo.1になると、やめられなくなるんだろうな、この時点で産業ロックバンドとして生き残ることを決意あろう。



FRONTIERS
JOURNEY
「Separate Ways 」を含む大ヒット作。既に産業ロック化を決意しているので、重厚なシンセサウンド+ハードエッジギター等ドラマティック路線を邁進した。日本では歌謡ロック的な位置にあって、中高生人気に沸く。
「セパレートウェイズ」は、アルフィに「メリーアン」を生ませ、ともに文化祭の代表曲に。大げさな作風はまさにバブル期を象徴するこってり大味。
私は、これに胃もたれを感じて、撤退。バンドもここでオバーシュートして、低落傾向に。

私は、スティーブペリーが苦手で夢中になることは無かった。私は、この人の鼻から抜くような高音の出し方を「合唱部ヴォーカル」として嫌悪してきた。ロニージェウムスディオ、デビッドカバーデール、オジーオズボーン、スティーブペリー、4大苦手オオモノヴォーカリスト。

一方で、ニールショーンのギターは、ソコソコ好き。半音チョーキングの名手でよく泣くギター、単音アレンジフレージングが印象的。サウンドはディマジオスーパーディストーションPUのナチュラルと半歪ぐらいのトーンが素晴らしいと思う。流石、サンタナの愛弟子。ペンタ系の無茶速弾きは、ハマるとカッコいい、反面、コケるとかなりダサいと感じる。
 


ボストン


Don't Look Back
Boston
昔々「フロイド、ZEP、ボストン」と言われたことがあった。それは、新作発表に時間を要すバンドとして、一括りされていた。
その中でも圧倒的に大衆産業として完成されたアレンジを生み出すバンドだった。デビューと同時に何故か?大物風で、本作は2作目で最高傑作。
トムショルツの「歪んだアルペジオ+感動の単音フレーズ反復」は、完璧に計算されたギターフレーズマーケティングの世界。このパターンを完成させて、ピークを迎え、その後は
メンバーチェンジもあった下降線をたどった。




TOTO


宇宙の騎士(期間生産限定盤)
TOTO
売れっ子スタジオミュージシャンが集まって結成された経緯から最初から大物風で、高い演奏力を誇った。アレンジや各パート・楽器のサウンドは洗練されていたが、曲作りが貧弱で最初から産業ロック臭の強いバンドだった。それでも「子供の凱歌」は良く出来た佳曲。
スティーブルカサーは、本作と「ハイドラ」までレスポール中心。ギターの音は全体的にトレブルが強すぎで、バッキング・リフの薄っぺらさが耳障り。
宇宙の騎士 [ TOTO ]


ターン・バック
TOTO
SMJ
バンド主導権がルカサーに移行してきて、ハードロック化しつつ、楽曲の深化と充実を狙い始めた時期。このあたりから、コンポーネント?ストラトのコモッた音になる。なぜ、あえて抜けない音を目指すのか?疑問に。



Toto Ⅳ
Toto
「ロザーナ」が入ったアルバムで全米1位に。これを境に完全に売れ線狙いに転じたが、このアルバムを超えるヒットは出せず、徐々に下降線をたどり、底打ちせぬまま、現在にいたる。ルカサー評価も同様。





コンサートパンフ
ルカサーとニールショーンが、ベックと共に来日。
見に行ったが、ニールとルカサーは、ほとんど覚えていない。
ルカサーの音が渦をまいてコモっていたことは記憶にある。

フォリナー



4
Foreigner
猫も杓子も全米チャートのヒット曲を聴いた時代、80年代初頭のNo.1になったフォリナーの出世作。元々、産業ロックバンドでは無かったが、主要メンバーの一部が脱退し、再出発の本作でシンセサイザーを導入したことで、時代のニーズにあったサウンドになった。圧倒的な大ヒットで、バンドも本作を意識した曲作りを継続・強化して、ヒットを継続するが、振り返ると、やっぱり本作がピークと感じる。


おしまい。