アルバートキングのギターフレージングには、すぐに彼とわかる個性がある。有名ギタリストにはそうした個性は当然に有るのだが、アルバートの場合、フレーズをほんの一瞬聴いただけ、チョーキングを一発聴いただけでわかるほど、個性が強烈だ。ごく初期には、この個性がまだ薄いことに気づき、いつごろ、あのスタイルが完成したのか?追ってみた。

Door TO Door

 

DOOR TO DOOR
ALBERT KING & OTIS RUSH
私が知る最古のアルバートキング音源です。
これは、メジャーデビューの前に、「CHESS」に残っていた音源の編集盤でオーティスラッシュとのカップリングになっている。2人がほぼ交互に出てくる編集。1990年に「発掘音源」として発売された。オーティスが歴史的名演であるのに対し、アルバートはまだ個性が立っていない。(と言っても、あのスモーキーなボーカルの存在感は既にある。)特にギターのインパクトは薄く、後年の存在感はまだない。私は、実はオーティスラッシュ目当てに購入した。わりぃーけどこのラッシュにはカナワない。サウンドは、「CHESS」の香りがする飾りのない、あの音。


The Big Blues

 
複数のレーベルを渡り、ついにメジャーデビュー。これが1962年。キングレコードから発売。
上記「CHESS」と異なるサウンドで、ヴォーカルのリバーブがキツめ。
女性コーラスがモータウン?風に入るなど、ちょっとチグハグな印象もあるが、バリエーションに富んだ良作。ジャケットの絵はなぜか?右利きの構え。
スローブルース冒頭の
「ヘイ!ベイベー」とシグネチャーチョーキングはこの時点で既に披露している。なれど、「炸裂」には至らず。(←私見)まだ、インパクトに欠ける。既にすこしファンキーでダンサブルなリズムも取り入れていて、他のブルースマンとの差別化をこの頃から狙っていたことが窺える。

Born Under a Bad Sign

 
Born Under a Bad Sign

STAXレコードに移って、67年「悪い星の下に」の邦題で有名な曲をアルバム名にした名作。レコードA面は、ミドルテンポのビート系ブルース、B面じゃ全編スローおよびバラードが収められ、キッチリプロデュースされた感あり、完成度高い。1曲目のタイトル曲は、オリジナリティの際立つ名曲。
ただし、私見ではアルバートのギターがもう一つ生き生きしていないと感じる。また、デビュー作で指向したファンキー・ダンサブルな路線をいったん中止したもよう。STAXレコードは、R&B主体といっても、サム&デイヴ、オーティスレディング、ウィルソンピケットなどソウル系が主力で、純ブルースはそれほど所属していない。そのカラーが漂うプロデュースの影響を受けた結果ではないか?結果的に大ヒットとして、ビッグネームとなり、良かった良かっただが。なお、クラプトンは「レイラ」のボーカルパートについて、このアルバムの最後から2番目の曲を速くしたモノを下敷きにしたと語っている。なるほど・・・・とも思える。



Live Wire/Blues Power


Live Wire/Blues Power
Live Wire/Blues Power [CD]
おなじみの「Watermelonman」で始まる68年のライブ。
この曲の作曲、ハービーハンコックなんだな。ちょっと意外。
2曲目、これでもか?と例のチョーキングが聴ける。
ご本人も開き直ってやってるって感じ。
映像もあれば、なお良しなんだろうが、
ちょっとくどい?、曲調もやや一本調子が玉に瑕か。
されど、アルバム「悪い星の下に」よりイキイキ、シグネチャーフレーズは完成されている。
これと同時期のライブに下記があります。この3作を聴くと、この頃のライブを網羅できるようです。

Thursday Night in San Francisco
King, Albert
Stax
1990-08-06



Wednesday Night in San Francisco
King, Albert
Stax
1990-08-06



albertking

サウスポーギタリストって、言えば、ジミヘン、アルバートK、ポールマッカートニー、トニーアイオミ・・・まぁポールはベースも弾くけど。
バンドに一人サウスポーがいると見栄えがいいのよね。



Years Gone By

Years Gone By
Albert King
69年のサードアルバム。このアルバムで、アルバートキングのスタイルが完全に構築されたと思う。
例のヴォーカルの「ヘイ!ベイベー」もあります。
サウンドプロデュースアもアルバートの王道ブルース。
例のシグネチャーフレーズは、微妙に変化するので一本調子にならない名人芸に達している。(←私見です。)
ラストの2曲は、最高。