カルロスゴーン(Carlos Ghosn)が、秘密裏に出国した。まったく太ぇ野郎である。
たいしたモンだ、とも思う。不謹慎だが、映画やアニメ(ルパン?)のように痛快に感じる向きもある。
ゴーン自身の弁護団を欺き、日本の司法を小バカにして、保釈保証金の15億円を「自由の経費」として捨てた。もっとも、ゴーンにとって15億は、これまでの報酬、これまでにカットしたコスト(≒リストラした賃金・従業員)に比べたら、それほど大きな金額ではないのかもしれない。いずれにしても自由を得るためには、何でもやるんだな。これまでも変装したことがあったが、これでけ社会的地位が高い人物がそれをゲスな変装を実行すること自体が、奇異だった。そして、今回は、複数の嘘や偽装(楽器箱に隠れる)を重ねて、出国し、目的地にたどり着いた。しかも、そこは犯罪人引渡条約のない国(レバノン)だ。


ここから、妄想開始***********************
ホテルに着いたゴーンは、楽器箱の中でかいた汗を流すためにバスルームに。
日本生活ですっかり身についた「湯舟に浸る」習慣を楽しみながら、自然に鼻歌がでるほど上機嫌だった。口ずさんだ曲は、ゴーンのヒーロー、ボブディランの「ゴーイング、ゴーイング、ゴーン」。
プラネット・ウェイヴス
「ゴーイング、ゴーイング、ゴーン」、2曲目のスローな曲。
ロビーロバートソンの悶絶ギターオブリ&ソロが聴ける。



英語はディランの詩、(カッコ内は、妄想的意訳)
I've just reached a place
(オレは、ついにたどり着いた)
Where the willow don't bend.*
(司法が邪魔しない場所に)
(*the willow don't bend⇒柳が垂れ下がらない⇒柳が邪魔しない、柳は海外では不吉、不幸を暗示する習慣があり、柳を日本の司法としてみた。)

There's not much more to be said
(言われるほどのことではないが)
It's the top of the end.
(終末の極みだ。)
I'm going,I'm going,
(おれは、行くんだ~)
「I'm Ghosn」
(オレは、ゴーンだ。)
*原曲では、I'm gone=俺は終わりと歌われている。


I'm closin' the book
(オレはもう、本を閉じるんだ)
On the pages and the text
(日産との確執や司法との争いについて)
And I don't really care
(もう、どうでもいいんだ)
What happens next.
(次に何がおころうと、オレには関係ないんだ)
I'm just going, I'm going,
(おれは、行く。おれは行くぞ)
I'm Ghosn
(オレは、ゴーンだ。)

I been hangin' on threads,
(オレにはいろんな役割があったんだ)
I been playin' it straight,
(おれには、愚直にそれをこなしてきた)
Now, I've just got to cut loose
(でも、もう、それを断ち切るしかない)
Before it gets late.
(手遅れになるまえに、<すでに手遅れだけど>)
おれは、行くんだ~)
I'm Ghosn
(オレは、ゴーンだ。)

一部、省略
ブリッジ後半部分
All that's gold isn't meant to shine.
Don't you and your one true love ever part."
金のものがすべて輝くとは限らない、
おまえと愛する人を決して離れさせるな

ゴーン、お前が言うな!!

この後、ゴーンは久しぶりに、家族と上流階級のメニューとワインを楽しんだ。
65歳を超えて、楽器箱に数時間隠れて息を潜めたことには、疲労困憊だったが、明日からの自由を考えると、ウキウキしてしまい、つい飲み過ぎた。ニヤつきながら、何度もディランの曲の替え歌ヴァージョンを「I'm going,I'm going♫,I'm Ghosn♪」と歌いながら、ベットに横たわった。

ウトウトし始めた時、ベッドの向こう端にハットを被り妙な化粧をした男性がいることに気づいた。よく見ると、それはディランであり、ゴーンを凝視していることに気づいた。
ディランRollingthunder2

その目は例によって「人を食った」ようなあの目だ。ゴーンは、血相を変えて立ち上がり、ディランに駆け寄ると、「ディランさん、やっと自由になれました・・・・」ディランは、これに全く反応せず、どこからか取り出したギターを手に静かに歌い始めた。「ハッティキャロルの寂しい死(The lonesome death of Hattie Carroll)」だった。この曲は、日産従業員を強引にリストラし、その効果でV字回復した業績評価をもって、多額の役員報酬をもぎ取った、「俺様至上主義、俺が欲するものはすべて俺のモノ」を皮肉って歌われた。詩の中の黒人労働者の不幸な死は、鈍感なゴーンにも自身を批判したものと感じられた。若干狼狽えたゴーンは、再度ディランに話しかける「日本の政治や司法は、まだ犯罪人と認定されていないただの被告人である私の人権を踏みつけているんです。けしからんのです。だから、私は・・・・」
このゴーンの叫びを途中まで聞いて、ディランは何も反応しないまま、また静かに弾き語り始めた。
「神が味方(With God on my side)」であった。
この曲は人は政敵や戦敵を倒すために、「神はわが方を応援してくれるハズ」と勝手に神の認識を決めつけ祈る愚行と、先と同様に「俺様至上主義」を皮肉った曲。ただし、皮肉であることは、ちゃんと聴く、ちゃんと詩を読む必要がある曲でもある。

これを神妙に聴き入っていたゴーンは、演奏が終わると、あろうことか、拍手して「ブラボー、ブラボー!」と歓喜した。
Times They Are A-Changin
Bob Dylan
Sony
2005-06-21



この賞賛にイラッとしたディランは、ため息を一回ついた後、ゴーンに背中を向けて、後ろの方に叫んだ。「Play it  L-O-U-DDDDD!!」例のオーバードライブヴォイスは、怒りでディストーションヴォイスになっていた。
後方では第2期ローリングサンダーレヴューの面々が、スワッた目で、ゴーンをに睨んでいった。
ディランの唾がかかる距離で、ゴーンが罵られたのは「Idiot Wind」(曲名)だ。
Hard Rain
Bob Dylan
Sony
1989-03-03



Idiot wind, blowing every time you move your mouth
「お前が話すたびに、歯の間から間抜けな風が吹いてくる」

You hurt the ones that I love best and cover up the truth with lies
「お前は人が愛する人物を傷つけ、そして真実を嘘で隠してやがる」
One day you’ll be in the ditch, flies buzzin’ around your eyes
「そのうち、あんた、ドブに落ちるぜ。それで、目の周りをハエがたかるよ。」
Idiot wind, blowing through the flowers on your tomb
そして、間抜けな風が墓の花の回りを吹くんだぜ。」
You’re an idiot, babe
「あんたは愚かさ、」
It’s a wonder that you still know how to breathe
「あんたが未だに息ができるのが、不思議だぜ」

ディランに怒鳴らた後、なぜか楽器箱とは異なる木箱(人が入る箱と言えば・・)に入れられ、汗びっしょりになるシーン(夢)を見たところで、ゴーンは実が覚めた。
「I'm gone」(オレは死ぬ)を「I'm Ghosn」と韻を踏んで替え歌にしたことを後悔し、その後何とも言えない不吉感が頭から離れなくなり、日本への再入国に悩むようになる。そして、最終的には、正々堂々と日本の司法とのガチンコ対決に踏み切るのだった。

っていう、ことで、ディランの詩は凄いね!って妄想です。