1,000枚以上のCDを持っていると、年に1回程度しか聞かないアーティストも多い。フレディキングも、年に数回程度。その昔、黒人ブルースマンを聴き始めたころに、出会った。やはり、エリッククラプトンを経由して。
ロックファン、ロックギター好きが、ブルースを聴き始める定番コースと思われる。
今、聴きなおすと、フレディーキング自身が、その短い芸歴(40代前半で亡くなっている)の中で、かなり変化していて、その変化にはファンの評価が分かれる。

メジャーデビュー初期・フェデラルレコード期




The King Years 1961-1962 [Import]
Freddy King
初期は、オーソドックスなブルース、ギタースタイルもシンプルで、端正なライン。シンプルながらも、フック・アクセントの効いたフレージングに耳がいく。今でも、ちょろっとコピーしてみたくなる。この頃のギターは、レスポールゴールドトップで、P-90ピックアップ、バーブリッジがパキパキの素晴らしいヌケで鳴る。誰もが言うことではあるが「Have You ever loved a women」のソロが素晴らしい。初期は、例のハスキーヴォイスヴォーカルはシャウトせず、クールに歌っていて、それが好き。歌メロのキャッチーな曲に、クールなヴォーカル、そしてパキパキのソロギターが歌う、「See,See,Baby」「Takin care of business」「I'm Tore down」などは、フレディの真骨頂。「Hideaway」「Tne Stumbe」等のインストも有名で、デビュー当時は、「速弾きテクニシャン」として注目を浴びたらしい。
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(初期のベスト盤としては、これ☝が充実していたが、今は見かけない)

アトランティック期



フレディ・キング・イズ・ア・ブルース・マスター
69年のアトランティック移籍直後の本作のジャケットは、345を抱えている。移籍で銭が入ったのかもね。レスポールは使わなくなり、ES345を使用するようになる。(345は、335のデラックス版)
多くのブルースマンが使用するセミアコなんだけど、フレディの音は、特にセミアコ感「エアー感」が強く感じられる。それが、私はあまり好きではない。味がクドイのよね。(私見です。)BBよりも歪んでいて、多用するフロントPUは特に「エアー感」が出すぎ。(これも私見だ。私も335を弾くの。)好きな人も多いので、このあたりから賛否別れるようになる。

晩年・シェルターレコード期


Getting Ready

71年、さらに移籍して、シェルターレコードの1作目で名作とされる。さらに歪が強めになり、濃いめのクランチ程度となる。ヴォーカルにはシャウトが増え、声も太くなってきている。曲も「Same Old Blues」の歌謡系ブルース、ハードな「Going Down」など、激情型ブルース・ロックへ移行。ブルースなのか、ロックなのか?これはロックじゃないかな。この作風でさらに2作。



Burglar

ファンキーなリズムを強調し、74年作。さらにロック色強まり、ギターは歪でややこもり気味。プレーも王道ブルースを離れ、ラン奏法などロック的なフレーズ展開が散見される。エネルギッシュな歌・ギターは絶賛される一方で、初期を支持するファンにとっては、ダメ押しの離縁を迫る内容でもあり、賛否別れる。


60年代ライブを聴きたいが、あまりなくて、70年代はたくさん出ている。下記はどれも激しい好演が聴ける。

ゴーイング・ダウン・アット・オンケル・ポーズ 1975 (2CD)
コストパよしの2枚組。有名ブルース曲とフレディの当時のアルバム(シェルターレコード期)収録曲をバランスよく配置した最強ライブ。
1. Introduction
2. Big Leg Woman
3. The Moon Is Rising
4. Woman Across The River
5. Boogie Funk
6. 56th And Wichita
7. Feelin’ Alright
8. Mojo Boogie
9. Have You Ever Loved A Woman
10. Rock Me Baby
11. Something You Got
12. Messin’ With The Kid
ディスク 2
1. Sweet Home Chicago
2. You’re The One
3. Woke Up This Morning
4. Ain’t Nobody’s Business
5. Kings Thing
6. Going Down
7. The Things That I Used To Do
8. Let The Good Times Roll
9. Stormy Monday



January Sound Studios, Dallas, March 31st, 1975 (Doxy Collection, Remastered, Live on Kzew Fm Broadcasting)
FMラジオがらみのライブ。上記の曲群にはかなわないが、意外と楽器の分離が良くて、聴きやすいサウンド。特にベースが素晴らしく、かなりテクニカルな指弾きが、すごくファンキー。これほどベースに耳がいくブルースバンドも珍しいと感じました。


Ebbet's Field, Denver '74
74年の「Burglar」からの曲が多い。サブギタリストに存在感。演奏全体は、「Burglar」をもっと激しくしたような。
リラックスしたセッション、アドリブが長い曲もあって、コアなファンには好まれる内容。(Amazonでは、なぜか、アダルト作品指定となっていますが、そんな内容ではありません。)



ブルースメンとして王道を行くヴォーカルとギタープレーを引っ提げてデビューしながら、当初からギターが主役のインストロメンタルでも人気を集めたが、70年ごろから、ロックの影響を強く受け、より激しくファンキーなスタイルを築いた。ロック化した晩年の印象が強いことが、コアなブルースファンが敬遠することにもなったように感じられる。長生きして、ブルースを演り続けていれば、BBやアルバートと肩を並べることができたろう。