久しぶりにザ・フーがマイブームになっていて「オッズ&ソッズ」を聴いていたら、マウンテンのギタリスト、レスリーウエストに出会った。そこから、ハードロックバンド「ウエスト・ブルース&レイシング」を聴いてみることに。

ウエスト・ブルース&レイシング

1972年に結成された米国人、英国人混在のハードロックトリオ。
メンバー
レスリーウエスト(マウンテンのギター)
コーキー・レイング(マウンテンのドラマー)
ジャック・ブルース(クリームのベース)
73年のセカンドアルバム制作中に元マウンテン組が、ジャックブルースを残して脱退し、残り作業をジャック一人で仕上げ、発表後解散。後に解散記念盤としてライブアルバムも発表。実質活動期間は2年、作品は3作。

ギターリスト・レスリーウエスト


アメリカのハードロックバンド「マウンテン」のギタリスト。1970年のデビュー・アルバム『勝利への登攀』からシングル・カットされた「ミシシッピー・クイーン」が全米21位のヒットとなった。マイケルシェンカーは、レスリーからの影響を公言していて、UFO時代はプレー・サウンドともに、それが良くわかると感じます。マイケルシェンカーファンにはおすすめです。

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代表曲「Mississippi Queen」などのように、バンドの軸足はブルースよりもロックロールにあるアメリカンハードロックバンド。(ただし、レスリーのギターフレーズにはブルージーな面もある。)その中で、「Theme for an Imaginary Western」(オリジナルは、ジャックブルース)、ベース・キーボード・ピアノのフェリックス・パパラルディ(クリームのプロデューサーでもある)の作品「For Yasgur's Farm」「Boys in the Band」などは、マイナー調メロディアスな曲で、アルバムをカラフルにしている。いずれにしても「ザ・70’sロック」な印象。

1971年、レスリーはザ・フーのアルバム「Who's next」のレコーディング・セッションに招かれた。完成した「Who's next」では、レスリーのプレーは採用されなかったが、レスリーがリードギターで参加した「Baby don't You do it」が「Who's next」のデラックス・エディション盤にボーナス・トラックとして収録、「Love Ain't For Keeping」が「Odds & Sods 」のリマスターに伴うボーナスとして収録された。これらがなかなか良い。

Who's Next: Deluxe Edition
Who
「Baby don't You do it」
時折、ピッキングハーモニクスを鳴らしながら絡むオブリガードがハードロック的。中域が強調された「噛みつく」ギブソンサウンド。エディヴァンヘーレンが、激しいピッキングハーモニクスを連発したデビュー盤が78年。71年に中域を強調したオーバードライブサウンドでピッキングハーモニクスを多用したギタリストはそれほど多くなかったのでは?激しく唸るリードギターは、フーのバンドサウンドにでは、「やり過ぎ」と見なされた?でも、なかなか面白いテイクです。



Odds & Sods
The Who
「Love Ain't For Keeping」
「Who's next」に収録された正規バージョンよりも、アップテンポでハードな演奏になっていて、ここでもレスリーのギターが唸る。フーは、一時期、この曲をライブの1曲目に演奏していたこともあるらしい。正規バージョンでは、それが意外に感じるが、このレスリー参加バージョンを聴くと、なるほど、ライブでウケそうなハードロックだ。一聴の価値あります。

ジャックブルースのクリーム解散後の活動

レコードコレクターズの2014年のジャックブルース特集によれば、ジャックブルースのレコーディングしたソロ作、またはバンドやプロジェクトのメンバーとしての作品は55作がCD発売されているという。プレージャンルが広いため、55作品に参加したミュージシャンの幅も広い。55作品って、凄いよなぁ。匹敵するミュージシャンが思い浮かばないぐらい。
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ギタリストではジョン・マクラフリン、レスリー・ウエスト、クリス・スぺディング、スティーブ・ハンター、ミック・テイラー、アラン・ホーロルズワース、エリック・クラプトン、ゲイリー・ムーア、フィル・マンザネラ、ウリ・ロート、ヒュー・バーンズ、ロビン・トロワー、バーニー・マースデン、ヴァーノンリード。ドラムスでは、ジンジャーベイカー、トニーウィリアムス、コーキー・レイング、ジムケルトナー、ジムゴードン、サイモンフィリップス、ビリーゴブハム、シンディ・ブラックマン・サンタナ、など。ピアノ・キーボードは、ジャック自身も弾くため、共演者はやや減るが、トニーハイマス、ヤンハマーなど。これだけビッグネームと多くの作品を残したジャックブルース。クリームだけ聴くのでは、もったいない。

ウエスト・ブルース&レイシングの結成


ジャック・ブルースは、クリーム解散後、ソロアルバム「ハーモニー・ロウ」を発表するも、あまり注目されず、売れず。ジャック本人によれば、ジミヘンの死をきっかけに、再度ヘヴィなロックを演りたい、元祖ヘヴィロックトリオのリーダーとして考えたらしい。この構想は、ジミヘンの死の1年後、フェリックス・パパラルディとの繋がりやジャックがレスリーのギタープレーを好んだことから、ウエスト・ブルース&レイシングの結成に至った。

ブログ管理人としては、ジャックとレスリーについて、それぞれ掘り下げて聴いてみたいとおもっていたので、アマゾンでポチっと。翌日に届いた。さて、どうなんだ?West.Bruce&Laingは?

デビューアルバム「Why Dontcha」



Why Dontcha
West Bruce & Laing



1曲目、冒頭、エッジの効いたハードなギターリフではじまる。その印象は「こんなにハードなの?」クリームか、マウンテンで言えば、マウンテン。ボーカルはレスリー。英国か、米国かで言えば、米国。70代のアメリカンハードロックでも重く激しい部類じゃないか?。この時点で期待がやや弱まる。
2曲目、ミドルスローでジャックのピアノをフィーチャーした曲。ボーカルもジャック。したがって英国風、70年代のプログレっぽくもあり、「クリームの素晴らしき世界」に入っていても違和感ない。期待を持ち直す。
3曲目は、完全にマウンテン。「ミシシッピクィーン」ヴァージョン2みたい。
4曲目ブルース「サードデグリー」(オリジナルはエディ・ボイド)のカバー。ハードロック風アレンジが面白い。レスリーのギターが、クリーム時代のクラプトン風に感じる。

その後も、マウンテン風とジャックブルース風がほぼ交互に並ぶ。ハードロック曲では、ジャックはクリーム以上に弾きまくっている。まるで「この手の曲は、弾くしかないだろ?」と言っているように。
最後の曲がポップな仕上がりで、「グッバイクリーム」の後半に入っていても馴染むような曲で、ちょっと救われた。

全編を聴いてみて、ジャックブルースの趣を感じる曲には、興味を持てた。一方で、マウンテン風アメリカンハードロックは、ブログ管理人には、これ1枚で十分とわかった。セカンドアルバムの制作中に分裂したこと、わかるような気がする。70代アメリカンハードロックファンには面白いバンドでしょう。

次は、ジャック・ブルースのソロアルバムを購入してみよう、と決めました。

おしまい。