歪系エフェクターとは

エレキギターは、ピックアップで弦の振動を磁気で感知し、それを電気信号化し、シールド(ライン)でギターアンプに送信し、ギターアンプのスピーカーを鳴らす仕組み。エフェクターは、その過程(ギター本体とギターアンプの間)で音信号に何らかの効果(エフェクト)あるいは変化を与える電気機器です。現在は多くのコンパクトエフェクターと呼ばれるギタリストの足元でフットスィッチ(ペダル)で操作するボックス型となっています。ボックスサイズが大きいタイプ(2倍から3倍程度)は、ブティックタイプなどと呼ばれ、さらにオーディラック型で複数のエフェクト(マルチエフェクト)が搭載されたものもあり、これらは比較的高価なタイプです。エフェクトの代表である歪(ドライブ)系エフェクターは、エレキギターの醍醐味であるアコースティックギターとは一線を画す迫力のある音を作り出すエフェクターです。あの迫力ある音は、音信号を電気的に歪(ひず)ませたモノで、それはオーバードライブサウンドなどと呼ばれます。ここでは、歪系エフェクターについてブログ管理人の私見を交えて記載します。

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1.歪(ひずみ)とは

エレキギターのサウンドは、大雑把に分けて、2つあると言えます。1つは、弦の自然な鳴り、あるいはアコースティックギターを煌びやにしたような音で、「クリーン(ナチュラル)」と呼ばれます。もう1つは、エレキギター特有の迫力のある「ドライブ」です。歪は、ギターサウンドのうち「ドライブ」または「オーバードライブ」とほぼ同義語と言えます。歪とは、ギターの音信号をアンプスピーカーで鳴らすまでの過程で、電気的に増幅(クリップ)された状態を言います。ドライブの音の種類は、その歪の程度により、歪の軽い順にクランチ、オーバードライブ、ディストーション、ファズなどと呼ばれます。歪の程度は、エフェクターに頼らず、アンプで調節できます。ギターアンプが1ボリューム方式であればボリュームで調整し、2ボリューム方式(2チャネル方式も含む)であれば、「DRIVE」または「GAIN」のノブで調整します。このように元々はアンプで作っていた歪をエフェクターでつくること、さらにきめ細かく調節可能にしたもの、それが歪系エフェクターです。多くのギターリストは、アンプの歪にエフェクターの歪を追加、または複数の歪系エフェクターを連結して使用しており、実際のギタープレーにおいては、ギターのボリューム調整と並行することで、ドライブ音のバラエティーを増やし、個性あるサウンドを追及しています。歪は元来、真空管アンプから発生したことから、この分野ではエフェクターのメーカーは真空管の歪を再現することが1つのテーマとなっています。実際に真空管を採用した高級機もあります。近年ではデジタルによるシミュレーターも発売され、一定の人気を獲得しています。

(1)オーバードライブ

アンプで歪ませたような、比較的ナチュラルな歪を作るエフェクターです。歪の濃淡を調節する「DRIVE(またはGAIN)」、音の輪郭や硬さを調節する「TONE(TREBBLE、イコライザー機能)」、エフェクターをかけた状態の音量の調節する「LEVEL」があります。機種により、「MIDDLE」や「BASS」などイコライザーが設定されている場合もあります。「チューブスクリーマー」は、オーバードライブの1種で、真空管は使用していないものの、その歪に似ている点から人気があります。
代表的な機種


Ibanez Tubescreamer TS9
Ibanez(アイバニーズ)



(2)ブースター

歪を抑えながらも、ギターサウンドのエッジを強調し、バンドアンサンブルの中でギターの音を前に押し出す効果をねらうエフェクターです。歪を伴わないで、音に存在感を加える意味で「クリーンブースター」と呼ばれることもあります。オーバードライブに付属機能としてブースターが付かされている機種もあり、その場合は、オーバードライブとブースターの2WAY仕様となっています。


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(3)ディストーション

オーバードライブよりも更に強い(濃い)歪をねらった機種です。オーバードライブの歪は、ザラついたような歪成分の粒が感じられるのに対し、音が一つの塊になったような印象が強くなります。ただし、オーバードライブとの明確な違いがハッキリしない面もあり、両者の中間のイメージの機種もあります。



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(4)ファズ

音の粒をつぶし、まるで図太い軸の強烈な歪をねらった機種で、ディストーションやオーバードライブとは一線を画す音像となります。極論ですが、ディストーションは、オーバードライブを濃く、キツく掛けることで似た音になり、逆にディストーションは極めて薄く掛けることでオーバードライ風にもなります(機種による差がります。)。しかしながら、ファズの場合、ディストーションをきつく掛けても、それ風にはなりません。それほど強烈な印象があります。故意にノイジーなサウンドやフィードバックを出すために使用される場合もあります。



BOSS Fuzz FZ-5
BOSS(ボス)








高級機
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廉価商品(使用していますが、特に問題ありません。ややブーミーになる印象あり、トレブル強めで使用しています。)

(使用していますが、特に問題ありません。ややブーミーになる印象あり、トレブル強めで使用しています。)








歪系エフェクターの選びの現実


ギターの音を決める要素は、大まかに、ギター本体、ギターアンプ、エフェクター類です。これは極端に大雑把な話で、もう少し細かく「音の決定要素」を見ると、
ギター本体で言えば、
⓵ピックアップの種類
⓶ボディ・ネック材の種類
⓷弦の太さ
ギターアンプでは
⓸チューブORトランジスタ(ソリッドステート)
⓹チューブの種類
⓺スピーカーの種類(ジャンセン、エミネンス、セレッションなど)
⓻アンプのセッティングぞれぞれが影響します。
これに、プレーヤーの個性も加わるワケで。

歪エフェクターは、ギターアンプの音の増幅回路を補完・グレードアップする機器として機能しますが、上記の他の「音の決定要素」7つに、さらに1つが加わる程度、いわば決定要素が8つになるわけで、その組み合わせによって音は当然に変わります。

まさに「一期一会」の世界です。

実際の音作りにおいては、この8つについて、自由に選べる環境にはなく、所有するギター、ギターアンプによって、⓵⓶⓸⓹⓺は固定されます。その中で⓵ピックアップとギターアンプに関わる項目は、特に影響が大きい項目となり、エフェクターを選ぶ場合の相性が問題となります。

例えば、ギターアンプに関しては、その機種のキャラクターが強い場合、例えば、Rolandのジャズコーラスに合うエフェクター、あわないエフェクターが出てきます。(ここで言う、合う、合わない、相性は、プレーヤーの好みによります。)
つまり、可能な限り、実際の使用機材をつかった試奏を行わないと、好みの歪エフェクターを見つけることは難しいのです。

好きなミュージシャンの使用機材を参考にする時

機材の「一期一会」を個別に検証することは、アマチュアミュージシャンにとっては、困難を極めます。したがって、ギター雑誌やネット情報、楽器メーカーの製品情報や広告で、好きなミュージシャンの使用機材を参考にする人は多いでしょう。この時、注意を要することとして、ミュージシャンの使用機材も日々変わりますし、ミュージシャンと楽器メーカーの提携による製品広告を鵜呑みにすることは、無駄金を使う可能性が高くなることです。楽器メーカーは、製品を売るために、有名ミュージシャンに製品を無償貸与しますし、広告にミュージシャンの使用を掲載することで、フィーを払うこともザラです。有名ミュージシャンは、俳優やアイドルと同様に「広告塔」なのです。有名ミュージシャンの使用をアピールする広告は「話半分」と思った方がいいでしょう。また、嘘ではなくとも、そのエフェクターを使用したら、憧れのミュージシャンと同じ、または同様の音が出るわけではないのです。なぜなら、ギター、アンプ、エフェクター、シールド、ピックなどをすべて同じものを揃えるのは、不可能でしょう。さらに、ピッキングの角度やスピード、強弱なども大きく影響さうることを考えると、プレースタイルを十分研究した上で、上記の「音の決定要素8つ」について、なるべく近い環境を選べるか?を考えるべき、と思います。


失敗の少ないエフェクター選び



まずは、クローンでOK
現在、エフェクター市場の競争は、非常に激しくなっています。ユーザーにとっては、選択肢が増えて喜ばしいことです。上記に掲載した代表機種は、やはり人気があります。それらの機能や音のニュアンスを真似た精巧な類似製品が数多く発売され、クローンと呼ばれています。これらのクローンも2極化しており、本家よりも高価なものもあれば、本家の半値以下、実額で3,000円程度の製品も多数あります。廉価商品は賛否有りますが、ひと昔前の「安い粗悪品」とは言い切れません。これらの廉価品を活用、打診買い、使用してみて、気に入ったら、その系統のより良いモノを検討するのもい1つの手段と思います。
RATのクローン






チューブスクリーマーのクローン





BOSSのディストーションのクローン




BIG MUFFのクローン
Animals Pedal Rust Rod Fuzz アニマルズペダル 70年代前半に制作されたラムズヘッドを再現 / ギター エフェクター ビッグマフ系
Animals Pedal Rust Rod Fuzz アニマルズペダル 70年代前半に制作されたラムズヘッドを再現 / ギター エフェクター ビッグマフ系


また、私見ですが、エフェクターで音を作るよりも、まずはギターとアンプで納得できる基本的な音を決めてから、エフェクターを検討すべきと思います。特に、ハードロックやブルース、ブルースロックを指向する場合は、少なくとも真空管アンプでないと、音作りのスタート地点にたったとは言えないと考えます。日々、真空管アンプを鳴らしていると、トランジスタ(ソリッドステート)を触る気にはなれません。近年の技術的な進歩で、有名ミュージシャンが、トランジスタアンプを賞賛している広告も見かけますが、実際のレコーディングでトランジスタを使用しているとは、到底思えません。したがって、エフェクターを多数購入するよりは、納得いくアンプを探した方がいいと考えます。

おしまい